自転車事故の高額賠償事例
自転車事故は腰痛、打撲、むちうち、骨折などのケガや、重傷を負い病院に運ばれる、死亡事故に発展する可能性も否めません。自分が被害を追うだけでなく、事故の状況によっては加害者となり、被害者に対してさまざまな責任を負うことになります。
人として道義的な責任だけではなく、過失運転者として刑事上の責任、加害者として民事上の責任に問われ、被害の度合いによっては一生をかけて償っていくことになるケースも発生しています。自転車事故とはいえ、その責任はあまりにも大きいのです。
これまで裁判所で出された自転車での加害事故例をご紹介します。
自転車での加害事故例
事故の概要
当時、11才の男児が夜、自転車で走行していたところ、歩道と車道の区別のない道路において歩行していた62才の女性と正面衝突しました。その女性は、頭の骨を折るなどし、意識が戻らない状態となったものです。
この判決が裁判所から出たとき、高額な賠償額であること以外に、子供が起こした事故について母親に出された支払い命令であることが大きく報じられ話題になりました。
これは、子供が自転車事故を起こすと親が責任を負う場合があるということを示した賠償例でもあります。
事故の概要
当時、男子高校生が昼間の時間帯に、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断していたところ、対向車線を自転車で直進していた24才の男性会社員に衝突したものです。衝突をされた男性会社員には言語機能の喪失などの重大な障害が残りました。
事故の概要
男性が夕方の時間帯にペットボトルを片手に持ってスピードを落とさずに下り坂を走行して交差点に進入したところ、横断歩道を横断中だった38才の女性と衝突しました。女性は脳挫傷などで3日後に死亡しました。
事故の概要
男性が昼間の時間帯、信号無視をして速いスピードで交差点に進入し、青信号で横断歩道を横断中だった55才の女性と衝突しました。女性は頭蓋内損傷などで11日後に死亡しました。
事故の概要
男性が昼間の時間帯、信号無視をして赤信号で交差点を直進し、青信号で横断歩道を歩行中だった75才の女性に衝突。
女性は脳挫傷などで5日後に死亡しました。
参考文献
一般社団法人日本損害保険協会パンフレット
http://www.sonpo.or.jp/news/publish/safety/traffic/pdf/0002/book_bicycle.pdf
免れられない賠償
自転車事故の賠償に限らず、自動車での事故などでも「損害賠償金の支払いを命じられたら自己破産をすればよい」と間違った考え方をされている人もいます。しかし、重過失による高額な不法行為に基づく損害賠償金は破産法における免責の対象とはなっていませんので支払い義務が消滅することはありません。
自分が加害者となり、被害者に重大な損害を与えてしまった場合、時には一生をかけて償っていくことになるのです。
(免責許可の決定の効力等)
第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任
を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
(中略)
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(
前号に掲げる請求権を除く。)
破産法より抜粋
自転車での加害事故例を受け、高まる自転車保険のニーズ
自転車での加害事故例としてご紹介しましたが、平成25年7月4日、子どもが引き起こした事故も親に賠償を支払う責任があるとの判決が下されました。
単身の方は自分一人が注意深く運転することで事故の当事者になる可能性は下がるかもしれません。しかし家族がいる方の場合、まだ危険意識の育っていない子どもや、とっさの反射がしにくい高齢の親が自転車事故の加害者・被害者になる可能性も十分にあります。そんな時、自分の家族についての補償は勿論、相手方への責任を果たすためにも高額賠償の備えをしておくことをお勧めします。
大切な家族がトラブルの当事者となったときのため、
家族みんなの保険加入が大切です。